'ドクターズ’パクシネという良い人、その微笑ましい成長期
'ドクターズ’、1人の良い人はどのように誕生するか
'良い人になりたい'
SBS月火ドラマ <ドクターズ> で、ヘジョン (パクシネ) は路上で突然倒れた妊婦を助けるジホン (キムレウォン) を見て、心の中でそんな決心をすることになる。不遇な家庭事情の中で、何の希望もなしで自分を壊して生きてきた彼女だった。しかし彼女はジホンに会った後、自分も世の中で良い人として意味あることをしたいという考えを持つようになる。
'良い記憶と良い人に会えば変化することができる'
<ドクターズ> は医学ドラマが持つ専門的な領域に入るよりは、むしろ単純ながらも明快な私たちの人生の問題に背を向ける。お金の論理によって人が不当に死んでもお金やいくつかの余裕で合意して上書きされる世界であり、事故で火事が起こっても、家柄の良い子供は被害者となり、貧しい子供は加害者になる世の中である。こんな非情な世界で希望を持つのは容易ではないだろう
しかしヘジョンには、幸い '良い人' と '良い記憶' がある。父に捨てられるように祖母の家に預けられるが、その祖母 カンマルスン (キムヨンエ) は傷ついた彼女をしっかりと抱きしめてくれる。無愛想この上もないが、外で事故を起こして帰って来ても、ひとまず家に帰ればご飯から取りまとめて食べさせるそんな祖母。そのポンと投げて置くクッパ1杯に、祖母の温かい温もりがそのまま感じられる。
火災事故であらゆる事を被って拘置所に入ったヘジョンに、マルスンはお弁当を包んできて頑張れと話す。自らを '運が悪い女' で片付けて生きていくヘジョンは、祖母に自分から逃げろと言うが、そんな彼女につましくお弁当を包んできて食べさせて、いざ自分の胃癌手術に対しては平気でじたばたする祖母。祖母は死ぬこともあり得る胃癌手術を明らかにすることさえ、ヘジョンがある意志を持つようにしようとする意図で話す。
ヘジョンの友達 スニ (ムンジイン) は警察署を訪ねて来て、自分が本当に放火犯だと明らかにする。"良い人になりたい" と言ってあらゆる事を被ったヘジョンを、彼女はそのまま置き去りにはできない。ついにヘジョンの代わりに拘置所に入るスニは、自分も彼女を置いて逃げなかったと言って、それを覚えていてほしいと言う。良い人になろうとするヘジョンの言葉は、そうやって再び良い人になろうとするスニの姿に戻って、それはまたヘジョンに消えていく小さな希望の火種を今一度吸えるようにしてくれる。
ヘジョンの担任先生であるジホンは、教師として彼女を刺激して抱きしめて、人生の目標のような物を持たせる人物だ。彼とヘジョンの良い関係を見て嫉妬したソウ (イソンギョン) がデマを作り出して、彼はこのような状況で誰が最も被害を被るのかを考える。先生よりは学生が、男よりは女がより被害を被ると言って、彼は結局学校を去ることになる。
幸い火災事件が解決されて拘置所から出ることになるが、胃癌手術を受けていた祖母が亡くなるやいなや、ヘジョンは再び絶望する。そんな彼女にジホンが訪ねてきて助けることができると言うが、彼女は自分とジホンがそれぞれ違う世界に住んでいると考えて懸命に彼を押し出す。最終的に彼女がまともな良い医者になることができたところには、彼女を囲んだ多くの人々の影響があったからだ。祖母の愛と悲しい死、そしてジホンに対する尊敬と恋心、友達の義理のようなものが何の希望もなく生きてきた彼女を成長させた栄養分になった。
<ドクターズ> は、このように1人の良い変化と成長をほほえましく眺めさせるドラマだ。もちろんヘジョンと対比される金のスプーンが作り出す劇的葛藤がないのではないが、ドラマは彼らとの直接的な対決より 'それにも関わらず' 良い人に成長していく彼女に対する強力な支持を持たさせる。葛藤が作り出す力よりは、1人の成長を見るそのほほえましさがもっと大きな力を発揮するということ。
実に1人の '良い人' が誕生するためには、数多くの人々の良い関係と影響が必要だ。 それは決してお金でできるものではない。誰かの犠牲があって、また誰かの温かい世話がある。映画 <弁護人> の人権弁護士 イグォン弁護士の場合のように、時にはクッパ1杯の温もりがその人を変化させるようにも作る。<ドクターズ> はこのような善意の価値が、その多くの飾りが素晴らしいスペックと環境の力よりはるかに強いと言うドラマだ。だからどんなドラマより <ドクターズ> が強力になるのは、善意の価値が無視される私たちの現実のためだと言うこともできるだろう。
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[ドクターズ] 4話の復習②
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