ピノキオ1話-記者でないキレギの時代、ピノキオ症候群にかける期待
嘘をついたらしゃっくりが出てくる記者の話。これは私たちの時代、最も切実な人物という点でドラマ <ピノキオ> は大きな期待をさせる。キレギと呼ばれる記者とマスコミに対する話を本格的に扱うという点で、このドラマは必見のドラマになるしかないと見える。
私たちの時代 マスコミの役割と価値 ;
イシューだけ追うマスコミに粉々に砕けることになってしまったキハミョン、彼の復讐が期待される
私たちの時代、マスコミの役割はより一層重要になっている。これは現在のマスコミが、きちんとした役割をしていないので出てくる強烈な欲求だろう。このような大衆の欲求を作家は正確に読み、作品に嘘をついたらしゃっくりをする本物の記者を前面に出した。
ピノキオ症候群。作家が作り出したこの新しい症候群は、<ピノキオ> の作品を貫く最も重要な価値だ。嘘をつくことができないその絶対的な価値が、結局意図しなかった結果を作ってしまうが、初回からこのドラマは興味深い状況をよく引き出している。
マスコミの役割だけを重く話すよりは、ストーリーの面白味を通じてテーマを貫徹させようとするパクヘリョン作家の試みは嬉しかった。<君の声が聞こえる> でも興味深いテーマと接近法を通じて視聴者たちを引きつけたパク作家は、今回の作品でも視聴者たちを魅了させるのに不足がなかった。目新しい接近法を通じて、マスコミの価値観を投影するパク作家の爛熟した能力は、<ピノキオ> を見るしかないようにした。
郷里島という小さな島で生きることになったダルポの過ぎ去った人生を、ある放送局のクイズショーを通じて解きほぐし始めた。'ピノキオ症候群'、'六十甲子'、'ケヴィン・ベーコンの法則' などの正解を通じて、フラッシュバックでストーリーを継続するプロセスは、作家の能力であり力だった。どれくらい効果的に視聴者たちの心を捉えるかがカギである初回放送で、子役と成人俳優を自然に繋いてくれて、両方とも魅力的に解いていったことだけでも <ピノキオ> は十分だった。
悪縁を持つ2人は、運命のように姪と伯父として出会うようになった。14歳のキハミョンは、海から引き上げられてチェダルポという名前で生きることになった。島で1人で暮らしていたおじいさん ゴンピルによって救われたハミョンは、おじいさんの記憶の中に存在する息子 ダルポになることに決める。自分の父ほどのダルピョンが弟になり、自分と同い年のイナは姪になって新しい家族になった彼らの人生は興味深かった。
自分の家族を離散させた記者 ソンチャオクの娘と一緒に暮らすことになるこのものすごい悪縁は、ダルポが生きるしかない理由になった。家族が崩壊されて、死の淵からやっと生き返って5年。ダルポは 'オールパン' というニックネームを持つやぼったい学生になっていた。卓越した頭脳を持つ彼だったが、自分を隠して生きなければならない現実で、幼いハミョンの選択はたどたどしいダルポの人生だった。
5年間たどたどしく生きてきたダルポの人生を剥ぐきっかけはクイズショーだった。全校1位の友達に敵対する新しい登場人物になったダルポは、皆が慌てふためくほどの人物だった。全校ビリの彼がクイズショーに登場したことから間違いだったが、最初の問題からチャンスを要求する姿で皆がパニックになるしかなかったのだ。そうやってドラマは現在から過去につながってこのような繰り返しを通じて、登場人物の関係を強固にしてくれた。
生まれてから、嘘をついたらしゃっくりをする 'ピノキオ症候群' のチェイナと、町内のお隣りに住む青年の話につながった。消防隊員の父によって引っ越すことになったハミョン家族は、豊かではなかったが十分に幸せだった。自分のことにベストを尽くす消防署の班長である彼は、ジェミョンとハミョンがいて幸せなだけだった。卓越した才能を持つ子供たちを自慢したがる平凡な息子バカだった。
'ピノキオ症候群' のお隣りの青年のしゃっくりがどれだけ残忍な結果を持たらすのか、初めて会った時はわからなかった。彼のその 'ピノキオ症候群' がものすごい結果につながる理由になるとは思わなかった。
突然の火災で現場に出動した消防隊員たちは、工場の中に従業員たちがいるという言葉を聞いて決心をすることになる。死の恐怖の前でも、消防隊員として天の命令を尽くす為に火に飛び込んだ消防隊員たちは、爆発によって全員亡くなってしまった。しかし、従業員たちが工場にいると明らかにした工場長は、消火活動をする過程でその問題の従業員たちが脱出したという事実を知ることになる。そして自分たちの間違いを隠す為に虚偽の証言をして真実が隠された状況で、すべての罪は死体も探せないハミョンの父の責任として処理された。
雨が降る日、似た服を着た男をキホサンと勘違いした 'ピノキオ症候群' のお隣りの青年の証言は、結局全てのことを歪ませた。嘘をつくことができない青年の証言は、結果的に真実と偽りの間の関係を物語ることになる。偽りではないが勘違いは存在して、そのような強い信頼は真実よりより一層強い真実として近づくという点で、<ピノキオ> のテーマに連結される。
部下を死に追いやって1人で生き残って、責任も負わずに逃げた存在になってしまった父 キホサン。このような歪曲された真実は、過度な報道戦争につながり、その過程で残された湖上の家族は、世の中の叱責を全身で受けなければならなかった。彼らの叫びは世論に埋められて、歪曲された真実だけが1つの価値として規定される過程で、輝かしい貢献をしたのがまさにマスコミだった。
YGNのイヨンタク報道局長が劇中話すように、99%の事実の中でもただ1%の疑問だけあっても、それが障害ではないとの記者精神は重く近づく。1%の真実よりは99%の可能性を確信と感じ、真実よりは犠牲者を探すのに没頭するMSCのソンチャオク記者の行動は、結局 <ピノキオ> が指向する話が何か明確に見せてくれた。
より刺激的なニュースを通じて視聴率を高めるのに汲々とするソンチャオク記者によって、キホサンの残された家族は極端な選択をするしかなくなった。花火を見に行ってみたかった幼いハミョンを連れて海辺へ向かった母は、父に会おうと言いながら心中を試みた。結局1人生き残って、自分を助けてくれたおじいさんの子供になったハミョンは、5年間息を殺したままダルポの生活を過ごした。
皆が悲しむ瞬間、父が生きているという知らせに自分も知らないうちに出てきた "良かった" というつぶやきは、幼いハミョンの運命をひっくり返した。そうやって歪んだ彼らの運命は5年が過ぎて、再び戻す為の旅を始めた。それまで 'オールパン' の人生を生きてきたダルポは、クイズショーに出演して英明なハミョンの人生に戻り始めた。
<君の声が聞こえる> を1つのシンドロームとして作った彼らが再び1つになった。パクヘリョン作家とチョスウォンディレクターは、<君の声が聞こえる> チームを呼び集め、主人公だったイジョンソクを前面に出して、目新しいストーリーを世の中に出した。前作もやはり真実を正していく過程に執着したように、今回の作品も真実に対する渇きを大きく露出させている。主な登場人物が法廷から放送局に変わったのだが、作家の視線は変わらなかった。
<ピノキオ> は前作のミステリーと興味深い展開をそのまま移植した。さらにOSTまで <君の声が聞こえる> でのEvery Single Dayと共にして、強烈さを継続した。作家のスタイルがはっきりと表れて、興味深い展開方式で視聴者たちの視線を引きつけたこのドラマの真の面白味は、まさに記者とは何かだ。
'セウォル号の惨事' 以降、日常用語に位置し始めた 'キレギ' を避けずに正面から凝視する <ピノキオ> は興味深い。権力の擧手機を自任して、資本のしもべになってしまったマスコミの現実の中で、果たして私たちの時代のマスコミはどんな姿であるべきかに対する悩みを共にすることができるということだけでも、<ピノキオ> は必見のドラマだ。
今日のお勉強
キレギ (기레기)
기레기=기자 (記者) + 쓰레기 (ゴミ)
記者らしくない記者に対する否定的な言葉。
メディアスの記事は内容がぎっしり入ってて読み応えバッチリだから、ドラマを理解する上で助かるわぁ
だから止められない
セウォル号の事故があった時に韓国のマスコミについて日本でも色々取り上げられてたね
キレギという合成語まであったのは初耳だったわぁ
しかし、うーん…つくづく深いわぁ