相続者たち11話-キムウビン揺さぶったパクシネとパクシネ泣かせたイミンホ、ものすごい三角関係の始まり
巨大な邸宅で生まれて、一生をその中で生きなければならない彼らの人生は、自ら作った監獄であるしかなかった。宮廷のようなタンの家と、その邸宅の最も湿っぽくて暗いところにあるウンサンの部屋は、私たちの社会の縮小版だった。全てのものを持って悲しくならざるを得ないタンとヨンドの愛は、それでより一層悲しいだけだ。
18歳のヨンドを生き返らせたウンサンの存在感;
ハリウッドサインと似ていたタンと18歳のヨンド、ウンサンは誰を選ぶか?
薄氷のようだったキャンプ場の雰囲気の中で、ウンサンを遮って立つヨンドの行動は、果たして愛なのか誇示なのかわからなかった。しかし、タンの前でウンサンを抱いたヨンドの行動は、愛よりはタンに対する挑発に近かった。愛という感情よりは、タンに対する怒りと申し訳なさが作り出した小学生らしい挑発だったからだ。
タンが来ることを想像もできなかったウンサンとしては当惑するだけだった。タンの前でこれ見よがしに挑発するヨンドによって、ウンサンだけ混乱して力に負えなくならざるを得なかったという点で、ウンサンにとってヨンドはただの悪い子供であるだけだった。自分が好きな人に好きだという表現もまともに言うのが難しいヨンドに、ウンサンはひょっとしたらつかまえたかったがつかまえることができなかったつらくて悲しい母のような存在なのかもしれない。
キャンプ場にタンが来たというニュースに一走りで駆け付けたラヘルは、ヒョシンの車に乗ってタンと一緒にホテルに向かう。自分と婚約した仲という事実を強調するラヘルと違って、婚約自体も破棄する勢いのタンの姿は彼らの関係をより一層不安にさせる。ラヘルの母であるイエスドとヨンドの父 チェドンウクがよじれているように、タンとラヘルの関係もやはり元に戻しにくいほどズレていた。
ラヘルがホテルまでついて来て、より一層楽に思うタンはウンサンに走って行く。そして彼らは過去、アメリカで感じたひと時の自由を満喫することになる。ソウルから4時間も離れていて皆と遮断されたその空間で、ウンサンは思う存分自分の感情を表現する。好きな気持ちを持っているにも関わらず表現できなかったウンサンは、空に星が無数に輝くその日だけは正直になることができた。
しかし、息が詰まるように幸せだったその時間はあまりにも短かった。その幻想の空間から出て現実へ向かって歩いていく彼らに、その道はに余るしかなかった。現実を直視するウンサンと現実を否定するタンに、愛という感情は贅沢であり虚しいギャグと違わなかったからだ。ウンサンがアメリカで見たハリウッドサインを例を挙げて話すシーンは、だから特別に近づいてきた。
"見るには近くても行ってみたら遠い" と表現したハリウッドサインは、タンと同じだと言う。近いところにいるタンだが、近づいたらますます遠く感じられる存在感をハリウッドサインに比較したウンサンの表現は適切だった。お互いに追われて映画館に入った彼らがぷつんと吐き出すように投げたタンの告白と、街に出てハリウッドサインを見て不思議に思って幸せになったウンサンの姿が浮び上がるのは、その当時の感情と現在の感情が同一なためだ。
震える告白を聞いても努めて無視しなければならなかったウンサンは、遠くからハリウッドサインを見ることだけでも幸せだった。そして現在のウンサンがタンを見つめる視覚も、やはり街で遠くにあるハリウッドサインを近くに感じて眺めるのと大きく異ならないという点で、その深くて広い現実の壁は明確だった。ウンサンが言ったように、真夏の夜の夢のように甘くて何となく寂しいだけのその感情は、だから悲しくて痛くならざるを得なかった。
タンを好きだというウンサンの言葉を聞くことになったヨンドは、自分だけの方法で彼女に現実を認知させる。ホテルのレストランで向き合ったタンを置いて繰り広げる妙な感情線の衝突は、皆を気まずくさせた。飾りと偽りが大手を振るう彼らの関係、お互いをけなすのに余念がない状況はウンサンには窮屈で力に余る席だった。食事をすべてすることもできずに外に出て行くウンサンについていったヨンドは、劇的な方法でウンサンに悟らせる。
プールに落とすこともできるウンサンをつかまえたヨンドは、その手を離してしまう。そしてプールに落ちたウンサンに、タンがいつかは君をそうやって置いてしまうことだと警告する。ウンサンもよくわかっている未来をもう一度呼び覚ますヨンドと、そんな姿を見て怒ったタンの行動は本格的に始まった三角関係の初めての爆発だった。
今回の話のハイライトはプールでなく、タンとヨンドの間のウンサンの話だ。タンの家でお手伝いをする為に会長の部屋に行ったウンサンは、タンによって彼の部屋に入ることになる。すでに一度来たことはあったが、この家の中でしてはならないという点でウンサンには負担になる状況だった。こんな状況の中でも自然にいたずらをするタンには、ウンサンの恐れは簡単に理解することはできない大きな課題だった。しかし、タンの母の登場と共に、爆発し始めた怒りはウンサンを家から出て行かせた。
予想された論議は始まり、その悲しみを誰よりよくわかるウンサンの母は、容易ではない決定をする。娘の為にその家から出て行くことに決めたのだ。話すことができず、簡単に仕事場を見つけるのが難しいという点で彼女には容易ではない決定だったが、娘がそんな侮辱に遭う状況では、娘の味方にならざるを得ない母 ヒナムの姿は切なくて悲しいだけだった。
ヨンドとラヘルの親が結婚するというニュースが記事化され、帝国高は1度暴風が過ぎ去っていった。彼らの前ではお祝いすると言うが、裏では紛らわしい家庭だとからかう帝国高に友達というのは存在しなかった。ボナの言葉のように、ただ人脈でも積もうとする行為であるだけで、ここに友情は存在しないという言葉は重く近づいた。他人の前では強く見えようと努力したラヘルだが、まだ幼い18歳の少女である彼女にもこのような状況は骨を折るばかりだった。泣くラヘルを婚約者でなく友達として慰めるタンと、彼らを眺めていたウンサンとヨンドの姿は重要だ。
いつも強いだけだったヨンドを見て大変だと話しかけたウンサンは、"考えてみるとあんたもわずか18歳だったわね" いう言葉は、ヨンドには大きな衝撃として近づいた。父さえ自分を18歳の少年として見ない状況で、唯一自分に自分が誰なのかを悟らせるようにしたウンサンの姿は特別にならざるを得なかった。
生きてきながらただの一度も持ってみることができないその感情は、ヨンドがウンサンを愛するしかない理由になった。その言葉を聞く前まで、ヨンドはウンサンという存在に関心があるのは事実だったが、そんな感情よりはタンを困らせるという考えが先んじていた。しかし、ウンサンがかけた '18歳' という単語は、ヨンドを根元まで揺さぶるほど強力に近づいた。そうやって強く見えたヨンドのまなざしが瞬間揺れるしなないほど、ヨンドにウンサンはすごい存在で刻印された。
全てのものを持つ相続者という理由で強くなるべきで、ただ勝利だけを叫ぶ父。他の人々に強く見せてこそ、自分の痛みを隠すことができるという考えでいつもズレて歪んでいなければならなかったヨンドに、初めて人間 チェヨンドをまさに見るようにしてくれたウンサンは大切な存在になるしかなかった。
望むならば何でもすべて持つことができるヨンドが、コンビニでカップラーメンで一食を間に合わせるシーンは重要だった。いつもコンビニで食事に代わる彼の孤独は、そのカップラーメンの中に全部含まれていたからだ。巨大な富の相続者だが、その中には愛が欠けていた。ただ富の相続だけ存在するだけで、人間的などんな愛情もない人生の中で、最も低いところに位置したカップラーメンという存在は、不調和ながらも象徴的にならざるを得ない。
異なるような境遇にならざるを得ないタンとヨンド、そしてウンサンの三角関係はだから興味深い。ウンサンに自分が18歳の高校生という自覚をもらうことになった後、ミョンスと共に中学生時代頻繁に訪れた食堂に来たヨンドは、率直な自分の気持ちを表した。自分の弱点を隠す為に意図的に友達だったタンを遠ざけたヨンド。タンが最後につかんで行こうとしたそこがまさに今座っている食堂だった。そこにヨンドの逃げた母が訪ねて来たのだ。その瞬間、タンについて行かなかったヨンドはその日以降、母と友達すべてを失って1人になった。
1人になってあくどい姿で自分をより一層閉じ込めることにだけに余念がなかったヨンドを、人間 チェヨンドにさせてしまったウンサンという存在は、その何かと変えることができない特別だった。過去の瞬間の選択で失くした母と、友達のように現在のウンサンを失いたくないヨンドに、ウンサンはタンが感じる感情以上だった。
信号の前でウンサンをはさんでタンとヨンドが交錯する状況で、ウンサンの手をつかんだタンと振り切るヨンドの姿は、彼らの三角関係が本格的に始まったという知らせのようだった。路上で立ち止まってウンサンを間に置いて対立するタンとヨンドの姿は、ジーンとするということまで感じるほど魅力的なシーンとして残ることになった。
巨大な宮廷で隠遁としたように生きていくタンと、その家の最も暗いところにある小さな部屋で生きていくウンサンの姿は私たちの姿と違わない。巨大な邸宅で一緒に生きるからといって、すべて同じなはずがないという点で、1%が支配する大韓民国でその1%の小さくて湿っぽい空間で冷たい待遇を受けて働く家政婦 パクヒナムとチャウンサンの姿は99%の私たちの姿という点で、ひやりと近づいた。イミンホとキムウビンという絶対強者の中で、<相続者たち> 抱いている内面の話はだからり一層興味深く近づく。
( メディアスの記事を訳 )
今日は色々用事があって、いつもの復習記事も11話しか進まなかった
11、12話ってホントこのドラマのポイントのシーンだと思う
タンが放送室でした告白にキュンキュンしたし、ヨンドが人間らしくなってきたし…
今回のドラマ…確かに家での食事シーンってほとんどないね
財閥家なのに、特にヨンドなんかはちゃんとした食事のシーンが全然なくて、コンビニのラーメンを食べてるシーンが多くてすごく不憫だったし。そんなヨンドがウンサンを見て心が揺れたっていう表情が結構見れたそんな11話だった
それにしても、3年前にタンとヨンドにあんな出来事があったとは…あの時タンと一緒に行ってれば、今のヨンドじゃなかったのよね、きっと